「糖質制限」や「適正糖質」などの言葉を耳にする機会が増え、糖質への関心は日々高まっています。糖質は主食に多く含まれる栄養素で、人が生きていくためには欠かせないもの。しかし、とり過ぎてしまうと太ったり、生活習慣病の原因になったりとマイナスにも働くこともあるので注意が必要な場合もあります。
この記事では、玄米と白米の糖質量の差を比較し、玄米の栄養的なメリットを解説していきます。また、玄米が血糖値に及ぼす影響や、血糖値の上がりやすさを示すGI値について、併せて見ていきましょう。
この記事の執筆者・監修者
管理栄養士 佐々木優美 先生
講師業の傍ら、料理や健康に関する記事の執筆やレシピ作成をしています。人によって料理に求めるものは違いますが、私の理想は心も体も満たせる料理を作ることです。野菜をたっぷり使った彩り豊かな健康食が好きで、なるべく植物性食品を多く摂れるように心がけています。忙しい生活を送る人が多い時代ですが、食事から体をいたわることの大切さも伝えていきたいです。
玄米と白米の糖質量の差はどのくらい?
近年では、「糖質は太る」というイメージが強くなっています。そのため、糖質制限においては、主食を抜いたり半分以下に抑えたりと、ごはんの量を減らすのが当たり前になっていますよね。実際にはお菓子やジュースのとり過ぎなど、余分な糖質のとり過ぎが問題になるのであり、普通の食生活をしていれば大丈夫です。
玄米は精米によってもみ殻が取り除かれ白米になりますが、この取り除かれる部分にどのくらいの糖質が含まれているのかはわかりません。玄米には健康的な印象がありますが、糖質においては白米とどのくらいの差があるのでしょうか。日本食品成分表2022年版を参考にしながら、玄米と白米の糖質量について解説していきたいと思います。
玄米・白米それぞれの糖質量は?
糖質量は炭水化物から食物繊維の量を引いて求めることができます。
お米の状態の場合、玄米の糖質量は100gあたり71.3gです。炊飯されたごはんの状態では100gあたり34.2gとなっています。
次に、白米の糖質量を見ていきます。お米の状態では100gあたり77.1g、炊飯されると35.6gです。
玄米と白米の糖質量の差を計算すると、お米では5.8g、ごはんでは1.4g(100gあたり)の差があり、白米の方が糖質量が多いことがわかります。
1日のトータル量で考えるとその差は…?
100gあたりで考えるとわずかな差と感じるかもしれません。しかし、食事は一度きりで終わるものではなく、毎日積み重ねていくものです。例えば、150gのごはんを1日3食食べる場合を考えてみましょう。
玄米ごはん150gあたりの糖質量は51.3gであり、3食分にすると153.9gとなります。これに対して、白ごはんを150g×3食食べると160.2gの糖質を摂取することになります。
このように、1日150gを3食食べる場合の糖質量をそれぞれ考えると、玄米と白米では約6gの差があります。この差はそれほど気にする程度のものではありませんが、少しでも減らしたいと考えている人にとっては大きな数字かもしれません。
また、3日間、1週間、1ヵ月…と長期的な視点で考えると、差はどんどん大きいものになっていきます。
玄米と白米どっちがダイエット向き?
糖質量からみると、ダイエットに向いているのは玄米といえるでしょう。玄米は糖質量が白米よりも少なく、不足しがちな食物繊維やビタミン類も摂取できます。糖質量を抑えられるだけではなく、栄養補給という意味でも優れた食品です。
ただし、いくら栄養価に優れた玄米とはいっても、食べ過ぎはよくありません。体格や活動量によってその人に合った適量は変わってきますが、1食の量を150g程度までを目安にするとよいでしょう。カレーライスや炒飯などはご飯が多くなりやすいので、特に注意が必要な料理です。
玄米は血糖値を上げにくい?
玄米がダイエットに向いているといわれているのは、糖質量が少なめであることも関係しています。それに加えて、もう一つ注目したいのが食後血糖値の上昇を示す指数であるGI(グリセミックインデックス)値が低いこと。ダイエットをするうえではGI値に関する知識も欠かせません。玄米を食べたときの血糖値の上がり具合が健康へ影響する場合もあります。
GI値とは?
GI値は血糖値の上がりやすさを示す数値で、低い方が血糖値は上昇しづらく、高ければ血糖値が上がりやすい食品といえます。ブドウ糖はGI値100で指標となる食品であり、90以上の食品には芋類やパン類が挙げられます。
GI値は数値の幅によって3つに分けられ、GI値が70以上の食品は高GI値食品、55~69を中GI値食品、55以下は低GI値食品とされています。この分類に従うと、白米は高GI値食品に含まれ、玄米は低GI値食品に属します。
どうしてGI値は低い方がいいの?
低GI値食品は、現代人に急増している肥満やメタボリックシンドロームの予防・改善に役立つものとして注目されています。
GI値の高い食品は血糖値を上げやすく、血中の糖を処理するためにインスリンが多量に放出されたり、インスリンの分泌が追い付かなくなったりします。インスリンは脂肪合成を高め、分解を抑制する作用があるため、分泌が乱れると肥満や糖尿病のリスクが高まる可能性があるのです。
一方、GI値の低い食品は、糖が穏やかに取り込まれて血糖値の上昇がゆるやかになるため、インスリンを多量に分泌することはありません。玄米のように低GI値食品を選択することが、肥満や糖尿病などの生活習慣病予防に役立つと考えられています。
GI値と食物繊維の関係
GI値は食物繊維と関係しており、低GI値の食品ほど糖質量が少なく食物繊維が多く含まれる傾向にあります。同じ炭水化物量の食品でも、食物繊維の多い食品の方が血糖値の上昇が緩やかなので、野菜や海藻類などは血糖値を上げづらい食品として知られています。
血糖値を急激に上げることはインスリンの分泌を促して太りやすくなります。そのため、糖質が多く含まれる食品や、食物繊維の少ない食品ばかりに偏らないよう注意しましょう。低GI値の食品を選ぶことで血糖値の上昇を緩やかにし、インスリンの分泌を抑えることができます。ダイエットのためには食物繊維を多く含む食品を選ぶことがポイントです。
まとめ
今回は玄米と白米の糖質量についてご紹介しました。玄米は白米よりも食物繊維が多く糖質の量が少ない食品です。また、血糖値を上げづらい低GI値食品であることからダイエットにも適しています。
玄米は糖質の摂取を減らしたい人や、血糖値の上昇を抑えたい人におすすめです。玄米の特徴を上手に活用して、ダイエットや健康づくりに役立てていきましょう。